高浜行人
全国で唯一、卒業資格がとれる東京都内の通信制中学校が、来年度も存続する見通しになった。今年度の在籍生徒は3年生1人のみで、休校が懸念されていたが、今月、来年度入学生を募ったところ、都内の15人から応募があった。
存続するのは、千代田区立神田一橋中学校の通信教育課程。1948年に設置され、中卒資格が取りたい人や学び直したい人から人気を集めた。だが、近年は応募が減り、20年度と21年度はゼロだった。
区教委は、現在の87歳以上に当たる「尋常小学校卒業や国民学校初等科の修了者」に限っていた入学対象を、中学で十分学べなかった65歳以上にも広げて今月1日から19日に来年度入学生を募集。こうした状況を朝日新聞などが報じたことで見学希望者が相次ぎ、最終的に都内の67~91歳の男女15人が応募した。
12月4日に試験があるが、近年、不合格になったケースはないという。堀越勉校長は「勉強したいという強い気持ちに応えられるような学校づくりをしていきたい」と話す。
存続に向けて署名活動をした市民団体「夜間中学校と教育を語る会」の関本保孝さん(67)は「学びの機会が確保されたことはよかった。きめ細かい教育活動ができるよう、東京都には適正な教員配置を検討してほしい」と話す。(高浜行人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル